《擦弦道成寺》

Concert & Workshop

恋慕と偽り、執念と哀しみ――

人間の心が織りなす深い情念を、喜多直毅のヴァイオリンが静かに語りかける。

一音一音に込められた感情が、観る者の心を揺さぶり、「道成寺」の物語を新たな光で浮かび上がらせる。

その音楽は言葉では届かない感情の奥底を掘り起こし、物語の中に生きる人々の思いを鮮やかに描き出す。

2025年5月7日(水)大倉山記念館ホール


喜多直毅 on stage

昼公演 15:00 開演  (開場 14:30)

夕公演 18:30 開演  (開場 17:40)

 

チケット(各々)予約3,500円 当日4,000円


お支払いは当日受付にて(現金のみ)



当企画のたて糸とよこ糸(企画に込めた思い)


【道成寺 あらすじ】

紀伊国真砂の庄司の館に、その年も東国から熊野詣での途上にある一人の旅僧が宿を求めて訪れた。彼は端整な容姿をしており、年ごろになった庄司の娘は恋におちた。幼い頃より、大きくなったらその旅僧に嫁ぎたいと夢見ていたからだ。

 

僧は「帰りに再び寄ろう」と娘をなだめ、館を後にした。しかし日が過ぎても僧は戻らず、その言葉の偽りに気づいた娘は、恋慕のあまり15里の道を追いかける。やがて日高川に至る頃、娘の執念は人の姿を捨て、蛇の姿へと変じた。

 

娘は蛇のまま川を泳ぎ、道成寺に逃げ込んだ僧を追い詰める。一段、また一段と道成寺の石段をのぼり、ついに境内へ。鐘の中にかくまわれていた僧に近づき、蛇と化した娘はその愛憎の炎で、僧も自らも鐘ごと焼き尽くしたという。

 

この哀しくも激しい物語は、今も「道成寺絵巻」として残り、日々、道成寺の僧から参詣者に、「絵とき」として語られている。 

【喜多直毅プロフィール】

喜多直毅(作曲・ヴァイオリン)

1972年岩手県出身。国立音楽大学卒業後、英国にて作編曲を、アルゼンチンにてタンゴ奏法を学ぶ。現在は即興演奏やオリジナル楽曲を中心とした演奏活動を行っている。タンゴに即興演奏や現代音楽の要素を取り入れた“喜多直毅クアルテット”の音楽は、その独創性と精神性において高く評価されている。他に翠川敬基、黒田京子、齋藤徹等、国内を代表する即興演奏家との演奏と録音、また邦楽・韓国伝統音楽奏者・ダンサーとの共演も数多い。欧州での演奏も頻繁に行なっている。


同日開催


能面 ワークショップ

『般若は女性の貌なのです。』

(コンサートオーディエンス向け)

普段はなかなか間近に見られない能面を至近距離でご覧になれます。能面は、「本面」と呼ばれる過去の逸品を細やかに複製しつつ、当代の能面師が魂を注ぎ込む技術として伝わります。日本の工芸のなかで培われた3D複製の技術、それは現代の3Dコピーとはまた違う、魂の複製です。

【ワークショップのタイムテーブル】

昼公演後、30分間ほど

夕公演前、17:45〜18:15

 

能の世界を演出するマスクとして名高い能面。

それは「能面のような顔」という表現で括られるほど薄っぺらいものではなく、角度や光によってナイーブに変わります。間近でご覧になると、その微妙さがわかります。

解説 面打師 福井誠

 



一点だけの着物展

ステージ右手に展示

〈まとう〉衣服をキャンバスにして、蛇の姿であり、紀伊平野を蛇行する日高川であり、能の詞章にある「花のほかには松ばかり」の風景である着物を作りました。あなたにはどう見えるでしょうか。

長原啓子



「大倉山記念館」アクセス


「大倉山記念館」は、東横線「大倉山」駅から徒歩7分ですが、「大倉山公園」内にあり、やや高台です。横浜市の文化財であり、公園内には、道成寺を思い起こさせる石の階段もあります。

 

坂道が苦手な方には、大倉山駅前 Food Station側にタクシー乗り場があります。

 

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